任せるということ

上司に「この件は君に任せる」と言われたらどう思うでしょうか?
不安に思ったり萎縮してしまう人も中には居るのかも知れませんが、ほとんどの人は嬉しくてやる気が出てくるのではないでしょうか?
私は社会人になってから、幸いにして上司にそう言っていただくことが多かったので、やる気も維持できたし場数を踏んで成長もしてこれたのだと思っています。一方で、いざ自分が仕事を任せる立場になると、仕事を任せるということは、結構難しいことなのだと分かるようになりました。つまり「任せる」側にも相当な勇気と相手に対する信頼が無いと出来るものではないのです。
今こうして書きながら、どういう人なら任せられるか、というのを考えてみると、まず任せる仕事に関する知識、能力が備わっていて適切な判断、行動ができる人、というのが挙げられると思います。ただ大きな仕事になればなるほどこれに加えて、ある程度の成功体験をしていて、万が一失敗しても大丈夫な人、というのが意外に大事な要件になるような気がします。
というのは、失敗すると会社に損失が出るということは勿論なのですが、実はうまくいかなったときには、本人が一番ショックを受けたり落ち込んでしまいがちなのです。これを後々まで引きづってしまうと、思い切った行動が出来なくなったり、責任を感じて受身になってしまったり、ということがあります。特に成功体験なくして失敗をしてしまうと、負のスパイラル効果が働いてそれが癖みたいになってしまうことがあるので尚更のことです。
知識、能力が優れていても、仕事は予想通りに進むことの方が少ないですから、予期せぬ障害や事態が発生したときにどう反応するか、ということがとても重要になります。普段は冷静で適切なジャッジが出来るのに、イレギュラーなことが起こったときに通常では考えられないミスをしてしまう人は少なくありません。逆を返せば、経験値を積ませるために仕事を任せる、ということも言えると思います。
一方で、他人に任せるより自分がやるほうが早い、ということで部下がやるべき仕事を自分がやってしまったり、いつまでも細かく指示していたりすると、その部下はいつまでも依存から脱却できないまま、自分で考えたり解決する能力がついていかず、結果として育たないということもよくある盲点です。上司はいつまで経っても部下が育たないと嘆き、部下はいつまで経っても仕事を任せてくれないと文句を言い、部下の成長も会社の成長にもつながらないのです。こういった指示と委任のバランスはとても重要だと思います。
冒頭触れたように、上司がせっかく仕事を任せようと決断しても、部下がそれに応えてくれないこともあります。仕事を任せられると不安になったり萎縮してしまうタイプの人は、自分が間違った判断や行動をしてしまったらどうしようと思ってしまうのだと思います。ただ、そう考えること自体の方が間違いで、任せる側は万が一失敗したとしてもやむを得ないと覚悟の上で任せているわけ(リスクは想定済み)ですから、そこは上司が責任を取ってくれると甘えて、自信をもって精一杯遂行するように努めた方が良いと思います。
逆に自分に知識や能力や経験が十分に備わっていないのにもかかわらず「仕事を任せてくれない」と言っている人も少なくないように思います。勿論仕事を任せられるレベルにある人に対して任せないのは上司や会社の問題ですが、何の後ろ楯もなく「任せて欲しい」と要求するのは単なるわがままだと思いますし、そういう人に仕事を任せる上司は無責任だと思います。知識、能力、経験がなければ成功確率は少なくなります。自分を分かっていない人に限って成功することしか頭にないので、失敗したときのフォローやリカバリー策を考えておらず、うまくいかなったときに大きな損失を出したり、自信を一気に喪失してしまったりすることもあります。
「仕事を任せる」ということは、それだけその人を信用しているということです。逆に任された人はその信用に応えるように一生懸命頑張るのだと思います。そのお互いの信頼関係があれば、伸び伸びと仕事が出来て、成功確率が上がり、結果として個人も会社も成長するという正のスパイラルになるのだと思います。
うちの会社も、仕事を任せられるスタッフがどんどん増えていくことを期待していますし、スタッフの成長をとても楽しみにもしています。