難解な金消契約

fonfunが設立されたとき、私は期せずして管理部長になったわけですが、そこで人事・法務・財務などを経験させてもらいました。

中でも最初の仕事は銀行からの借入、サービスの開発が先行して売上が無かったため、運転資金を調達しなければならなかったのです。

今考えれば、資本金こそ大きかった(3億円)ものの、売上もなくて担保もないのによく銀行は資金を貸してくれたものだと思います。
オペラシティにオフィスを構えていたこと、公開会社が株主に入っていたこと、創業社長が公開会社の役員だったということが与信になっていたのかも知れません。
銀行というのは面白いもので、1行が貸すとなると横並びに出してくるので、1行を落とせば後は比較的容易でした。

ところで、金融機関から金銭を借り入れるにあたって、最初に戸惑ったのがその契約書でした。

まず契約書の名前。
お金を借りる契約書の名称は「金銭消費貸借契約」(金消契約)というのです。
金銭を消費するために金員を借り入れ、それを将来弁済することを約束する契約という意味ですが、当時は「何て難しい名前を使うのだろう?」と思いました。
「お金→金銭」、「使う→消費」、「貸し借り→貸借」となるわけですが、なぜ消費という言葉に違和感を感じました。
「金消をまく」という表現も馴染むまで時間がかかりました。

次に難解な用語。
お金を貸す人のことを「債権者」、お金を借りる人のことを「債務者」というのですが、「債」という字を使う意味が分からないし、違いが「権」と「務」だけなので分かりにくいと思いました。
同じように、抵当権者(通常は債権者)と抵当権設定者(通常は債務者)、担保債権と被担保債権などの言い方もあります。

更に「期限の利益の喪失」という言葉。
「期限の利益」というのは、金銭の借入をしたときには、その返済を約束した期日までは、債務者は債権者から返済の請求をされないことを意味します。
私にはこのことに「利益」という言葉を使うことがしっくりこず、お金を借りるのは返済日まで資金が用意できないから借りるのであって、それに対しては利息という代償も払うのだから「利益」というのがどういうことなのだろう・・・と思っていました。
もっとも、期限の利益は通常「期限の利益の喪失」という表現で使われるもので、返済できなかったり契約に違反したら「即刻全額返済しなさい」ということを法律的に仰々しく表しているだけです。

最後に「譲渡担保」。
譲渡担保とは、債権者が所有権などの財産権を債務者から譲り受け、被担保債権の弁済をもってその権利を返還するという形式で、法律的に所有権は一旦債権者に移動するけど債務者が担保物件を継続して使用できる、というものですが、所有権が移るのに担保という言葉を使うのが未だに納得いきません(笑)。